介護され人

障がい者の日常を短歌に詠む

吾子の笑み

吾子の遺影に供える柘榴の一枝に巡る思い出
白い帽子の笑み愛し



教会からザクロの枝を貰ってかえり、六歳で病死した
息子の遺影の前に飾ります。幼児洗礼を受けて教会を
遊び場にしていた息子への思いから、園庭のザクロを
遺影に供える事がいつの間にか毎年の行事の様になっ
てしまいました。

柘榴が実る

園庭に実る柘榴の赤々と我を誘い
  古びゆく秋の午後静か


教会の庭は同じ建物にある幼稚園の園庭としても
使われていて、園児たちが元気に遊びまわってい
ます。庭を見渡せる部屋から眺めるとザクロの赤
い実が点々と付いているのが遠目にもわかります。
私は何故かその赤い色が愛おしく心魅かれてしま
い、いつ迄も眺めていたい気持ちになってしまう
のです。

教会

礼拝堂に居残れば讃美歌を歌う
亡き夫の声の優しさふと思う


キリスト者としての教会生活も50年になろ
うとしています。礼拝が終わった後も車イス
の私は混雑を避けてその場に残ります。
同じキリスト者だった亡き夫とは日曜礼拝で
一緒に讃美歌を歌いました。夫はどちらかと
言えば音痴の部類に入りますが、讃美歌を歌
う時の声は本当に優しかったのを今でも覚え
ています。